トレーナーへの道のり〜その6:入職1年目〜
「トレーナーへの道のり〜その5:入職〜」の続きとなります。
今回は入職1年目のことを振り返ってみたいと思います。
新人がスポーツ外来へ
リハビリテーションと一口に言いましても、運動器、呼吸器、脳血管、心大血管、回復期、外来、訪問、通所・・・と、様々な疾患やサービス提供方法が存在します。
勤務先はほとんどそのすべてを網羅していると思います。リハビリテーションに関して、とても力を入れている病院と言えると思います。
多様な部署がある勤務先では理学療法士の人事においてローテーション制度を採用しています。さまざまな部署を回って理学療法士として総合的な視点を養うことができ、最終的な自分の専門分野で活躍できるようになれる魅力があると思います。
そういった、教育方針をとっているため、私のような人間は本当に扱いにくいと思います。最初からスポーツという専門分野一本でやらせてくれと、言っていますから・・・
さらに、勤務先のスポーツ外来は、中堅〜ベテランの理学療法士が配属されており、新人で配属されることは異例のことだったようです。
大きな組織ですから、そう簡単に一個人の意見が通るものでもないではないとおもいますが、今考えると私の上司はきっと様々な手配をしてくれたのだと思います。
そういった手配がなければ、今ここにいることができなかったと思いますので、本当に感謝です。
焦り
配属されてから私はこの「焦り」に支配されていたのだと思います。周囲の先輩たちのレベルの高さ、自分を迎えてくれた部署の力に早くなりたい、トレーナーとしてどう活動するか・・・など焦りの理由はたくさんあったと思います。
特に支配されていたのは、自分を認めてもらいたいという欲求からの焦りでしょうか。新人としては異例の人事であったこともあり、部署内だけでなく部署外も含めてそういう思いは強くありました。
そんな自分がとった行動は、自分は能力の高い人間だと見せることです。自分にはできないことでも背伸びをしてできるように見せていたと思います。
今思えば、そんな小手先だけの方法などすぐにバレるし、そんな人間では本当の意味で認められないとわかりますが、当時の私にはわかりませんでした。
ですから、先輩方からみれば私の仕事は明らかに「出来ていない・足りていない」のに、それをよく見せようとしているので、かなり指導をいただきました。その指導内容が私の考えも及ばないような高いクオリティで、また焦ってしまうのでした。
「ここで働くために学生時代から努力してきたんだから、自分は特別だ」恥ずかしいですが、こんな思いを抱えていたことは事実です。
自分は特別なんだから認めてくれ。
こうして文字にするだけで、心がざわつき、羞恥心と不快感が襲ってくるセリフです。当時の私だって、同じように思うはずです。知らず知らずにそういった考えに支配されて、冷静に自分を見れなくなっていたのでしょう。ですから今でさえ、いつまた自分がそういう考えに陥ってしまうのだろうという恐れがあります。
ここに書き記して、また振り返ってみた時に自分に対して警告できればと思っています。
仲間
焦りから余計なミスが多い中でも、否応なしに仕事はやってきました。毎日、夕方になると学校終わりの学生がたくさんやってきました。最初は、先輩方の手伝いから始まりました。予約をとったり、セルフケアのストレッチ指導をしたりと・・・業務のほんの一部ですが、それですらうまく対応できない状況でした。
自分ならできると思っていましたが、そんな考えは打ち崩されました。
「本当にここで仕事をやっていけるのか?」
そんな思いが芽生えました。ですが、結果的には続けることができました。
それは、私が配属されたタイミングで一緒に移動してこられた先輩方の助けがあったからこそでした。
私と同時期に、スポーツ外来に移動になった入職2年目と入職4年目の二人の先輩がいらっしゃいました。二人は新人の私に対して同期のように扱ってくださいました。理学療法士としての経験・知識は私なんかよりずっとあるはずなのに、スポーツ外来では新人だからと、本当に親身になってくださいました。
業務後には先輩方から教えていただた技術や知識を交換し、評価や触診の技術を練習したりで、帰宅時間が22時を回ることはよくありました。(あくまで自主的ですので。笑)
この二人の存在が、仕事を続ける上で大きな助けになったことは間違いありません。なにか、一種の部活動のような雰囲気になり、先輩ではありますが、「仲間」として協力して周りの先輩方に食らいついていこうという気持ちになっていました。
一人は退職し別の道へ、もう一人は今でも同じ部署で働かせてもらっています。お互い家族ができて、仕事終わりにコーヒーを飲みに行ったり、ラーメンを食べに行く機会がなくなってしまいました。同じ職場なのに環境が変わったせいか、そういう思い出を忘れかけていました。
あらためて、お二人への感謝の気持を感じました。
入職1年目は、自分の愚かさや仲間のありがたさを感じた1年となりました。正直、トレーナーどうこうでなくスポーツ外来での仕事すら満足にできていない状況でした。
とにかく、まずはスポーツ外来でしっかり働けるようになろうと考えた1年でした。
2年目以降、すこし仕事にも慣れてきてトレーナー的な仕事ができるようになってきました。次回はそのあたりが書ければと思います。
カラダのメンテ
住所:長野県松本市蟻ケ崎4-9-5 MKビル2F東
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