冬季競技ナショナルチーム帯同報告 2021-2022シーズン(2)
今回、チームはいつもの活動拠点を離れて気温が高く体を動かしやすい地での合宿でした。合宿自体は2週間ほどで、私はその中盤あたりの5日間をチームに帯同させていただきました。
陸上トレーニングではウエイトやバイクトレーニングの負荷が強くなり、選手たちのカラダは疲労の蓄積が進んでいるようでした。
また、そのような状態ですので練習強度に対応できない選手に少しずつ「痛み」が現れ始めていました。
今回は、トレーナーとしてのケガへの対応について書いてみたいと思います。実際に対応させていただいたケースを例にトレーナーの仕事を書いてみます。
情報共有
帯同前に、ある選手が腰痛で練習を休んでいると事前に先にチームに合流しているトレーナーから連絡がありました。
そのトレーナーはコーチとも情報共有し、腰痛の選手はそのトレーナーの下で別メニューにより練習復帰を目指している状況でした。
トレーナー同士で情報共有が出来ていると、このように私がチームに合流する前からチームの状況を知ることができます。
これにより、選手やコーチなどは改めて詳細に合流してきた私に状況を説明する必要がなくなります。また、途中合流の中で、私がすべきことが明確になります。
トレーナーとして情報を共有することはチームをサポートする上で重要な仕事となります。
今回は、腰痛によりチーム練習を離脱している選手がトレーナーの下で別メニューを実施しているという状況でした。
つまり、選手の復帰に向けてトレーナーが別メニューで調整をしていくことをコーチも理解してくださっているということになります。
これは、トレーナーとコーチの間で情報共有がなされている状態です。さらに、腰痛の選手の復帰に向けてトレーナーが責任を持って対応するということが、明確になっています。
責任が明確になることで、復帰に向けたプランや戦略を立てやすくなり、選手やチームにとっても安心感やスムーズなチーム運営に繋がります。
トレーナーはトレーナー同士の情報共有だけでなく、選手とトレーナー、コーチとトレーナー、ドクターとトレーナー、栄養士とトレーナー、科学スタッフとトレーナー・・・などチームに関係する方々が対象となります。
復帰プランの提案
チームに帯同させていただくと、トレーニングの場にも一緒にいることができます。もちろん何かあったときの救急対応などの役割のためなのですが、選手が実際にしているトレーニングをみれるということはとても大きな情報を得ることができるのです。
トレーニングの目的・内容が私自身でも確認できると、どういうカラダの使い方をして、どのくらいの負荷がかかっていて、選手はどんなポイントを意識していて、どんな動きが苦手で・・・など本当に大きな情報が入手できます。
復帰に向けたプランを考える上で、それらの情報がとても役に立ちます。
カラダの使い方やトレーニングの目的・内容などから「痛みの原因」を考え、その原因を解決するための修正プログラムを組み立てます。
プログラムはなるべく難易度の低いものから組み立て、どこで引っかかるのかをわかりやすくしてきます。難易度は動作が単純であるほど低くなると思いますので、最初はかなり単純な動作からになります。
ですから、選手やチームのトレーニングの目的を理解したプランを立てないとケガをした選手としては「意味があるのか」と疑問に思ってしまうことでしょう。
なるべく明確な目標立ててそれに向かって取り組んでいると思ってもらうことも復帰プランには重要な要素です。
また、目標が明確なほど復帰プランも効果的なものになりやすくなりますし、復帰後にそのトレーニングが可能だったかで、プランの効果も判定しやすくなります。
私の帯同させていただいているナショナルチームでは、フィジカル(ストレングス)トレーニング専門のコーチがいらっしゃいます。
そういったストレングスコーチとも情報共有を積極的に行い、トレーニングの目的をより明確にしていきます。ここでも情報共有は生きてきます。
今回立てさせていただいた具体的な腰痛選手の復帰プラン等については、別の機会にまとめたいと考えています。
復帰プランの実行
今回の場合は、チームトレーニングの裏で腰痛選手が別メニューで復帰トレーニングを行いました。
いくらコーチが別メニューの許可をしてくださっていても、基本的にはチームの練習を抜けるという特別な状況ですので、前日のうちにコーチに腰痛選手の翌日の動きについて説明して改めて許可をいただくようにしました。
その際に、腰痛の状況や今後の見通しなど軽くミーティングも行い、腰痛選手に対するコーチとトレーナーの認識をすり合わせておくように心がけました。
ありがたいことに、今のチームのヘッドコーチはそういったことに対して大変理解があり、私が心がけずともコーチの方から配慮してコミュニケーションしてくださることも多いです。
チームは20人ほど選手がいますので、故障した選手のみに気を配ってればいいわけではないので、コーチからもコミュニケーションをとっていただけることはとても助かります。
選手には、復帰に向けてのプランをなるべくわかりやすく伝えるようにしました。私だけが理解していても、ケガをした選手の不安や焦りはなくなりませんので、最初にいかに目標を共有できるかが重要と思いますので。
また、復帰に向けたプログラムを行いつつ、部分的にチームのトレーニングに参加するようにも心がけました。
これは、少しでもチームのトレーニングに戻れたという安心感を選手が感じるというねらいもありますが、復帰プログラムの進行に伴い、目標とするチームのトレーニング復帰に向けてどのような状態かを判断する意味もあります。
ここで、復帰プランやそのプログラムの方向性が間違っていないかを確認・修正していくことで、より効果的なサポートへとなっていくと思います。
部分的なトレーニング参加においては、そのトレーニングを担当するコーチとの情報共有と許可が必要と考えています。
ここでも情報共有は重要になります。
最終的に、私の帯同中に腰痛選手は7割ほどのトレーニング復帰ができました。
あとは、私の後に合流するトレーナーに、現状や復帰プラン・プログラム内容を「情報共有」をして、チームを離れました。
カラダのメンテ
住所:長野県松本市蟻ケ崎4-9-5 MKビル2F東
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